「今日も休憩、ほとんど取れなかった」
介護現場では、そんな話を聞くことがあります。
食事介助が押した。
コールが鳴り続けた。
急な受診対応が入った。
記録が終わらない。
人手が足りない。
気づけば休憩時間が終わっていた。
こういう日は、たしかにあります。
介護の仕事は利用者さんの生活に合わせて動くので、予定どおりにいかないことも珍しくありません。
でも、
「介護職なんだから休憩が取れなくて当たり前」
と考えてしまうのは少し違います。
忙しい日があることと、毎日のように休憩が取れない職場であることは別の話です。
この記事では、介護現場でなぜ休憩が取りにくくなるのか、休憩中のコール対応や記録はどう考えるのか、そして休憩が取れない状態が続いているときに何をすればいいのかを、現場目線で整理していきます。
介護職で休憩が取れないのは「普通」ではない
まず結論から言うと、
休憩が取れない状態が常態化しているのを「介護だから普通」と考える必要はありません。
介護現場は忙しいです。
突発的な対応もあります。
そのため、予定していた時間に休憩へ入れないことはあります。
でも本来は、
13時に休憩予定だったけど14時から取った。
急変対応があったので時間をずらした。
というように、業務の状況に合わせてきちんと休憩を確保する必要があります。
労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を勤務の途中に与えることが定められています。さらに休憩時間は、労働者が自由に利用できる時間でなければなりません。厚生労働省
つまり、
「勤務表では1時間休憩になっている」
だけでは十分ではありません。
実際に仕事から離れられているかが大切です。
なぜ介護現場では休憩が取れなくなるのか
介護職の休憩が削られる理由は、一つではありません。
いくつかの事情が重なることで、
「休憩に入るタイミングがない」
状態になります。
人手不足で交代要員がいない
一番分かりやすいのは、人手不足です。
休憩を取るということは、その時間だけ現場から一人抜けるということです。
たとえば職員3人で回しているフロアなら、
一人が休憩に入ると2人になります。
その2人で、
コール対応。
排泄介助。
見守り。
食事。
記録。
全部を回さなければいけません。
そのため、
「今抜けると大変そうだから、もう少し後にしよう」
となりやすいです。
そして後回しにしているうちに、
次の業務が始まる。
また休憩に入れない。
そのまま勤務終了。
という流れになります。
食事介助の時間がずれ込む
昼休憩が取りにくい職場でよくあるのがこれです。
昼食の配膳。
食事介助。
服薬。
口腔ケア。
排泄。
臥床。
ここまで終わってから休憩。
という流れになっている施設も多いと思います。
ところが、
食事がゆっくりな利用者さんがいる。
介助人数が多い。
途中でコールが入る。
体調不良者が出る。
そうすると予定より30分、1時間と押していきます。
「12時半から休憩」のはずが、
気づいたら14時。
こういうことが起きます。
記録が休憩時間に食い込む
これもかなりあります。
現場業務が終わらないので、
「休憩中に記録だけ書いておこう」
となるケースです。
本人としては、
座っている。
食事もしている。
だから休憩しているように見えます。
でも、
パソコンで介護記録を入力する。
申し送りを書く。
業務連絡を確認する。
これらをやっているなら、少なくともその時間は仕事から完全に離れているとは言いにくいです。
厚生労働省も、休憩中に電話や来客対応などをするよう指示されている場合、その時間は休憩ではなく労働時間として扱われると説明しています。厚生労働省
「座っている=休憩」ではありません。
休憩中でもナースコールが気になる
介護職なら、これも分かる人が多いと思います。
休憩室に入った。
食事を始めた。
でも廊下からコール音が聞こえる。
職員が走っている。
誰かが大声で呼んでいる。
すると、
「出たほうがいいかな」
となります。
結局休憩途中で現場に戻る。
そのあと改めて休憩を取るわけでもない。
これを繰り返している人もいます。
もちろん、
本当に緊急なら対応が必要なことはあります。
でも、それが毎回なら休憩体制そのものを見直したほうがいいです。
「休憩中だけど何かあったら対応して」は休憩なの?
ここは悩む人が多いところです。
たとえば夜勤中、
「2時から3時まで休憩」
となっている。
でも、
コールが鳴ったら対応。
利用者さんが起きたら対応。
急変があったら対応。
こういう状態です。
これは、
休憩時間なのか。
待機時間なのか。
という問題があります。
厚生労働省は、休憩とは単に作業をしていない時間ではなく、労働から離れることが保障されている時間だとしています。厚生労働省
つまり、
「何かあればすぐ仕事に戻らないといけない」
という状態なら、実態によっては休憩とは言えない可能性があります。
ここは勤務体制や具体的な運用によって判断が変わるので、
「絶対にこう」
と一括りにはできません。
ただ、
休憩と言われているのに、毎回普通に仕事をしている
のであれば、少なくとも一度職場で確認したほうがいい状態です。
日勤より夜勤のほうが休憩を取りにくいこともある
夜勤は、
「利用者さんが寝ているから楽」
と思われることがあります。
でも実際は、施設によってかなり違います。
少人数の夜勤では、
一人夜勤。
二人体制。
というところもあります。
夜間は職員数が少ないので、一人が休憩に入るだけでも現場への影響が大きくなります。
さらに、
頻回なコール。
トイレ誘導。
オムツ交換。
巡視。
体位交換。
不眠の利用者対応。
急変。
などが重なると、
「休憩なんて取る暇がない」
となることがあります。
特に一人夜勤では、
「休憩時間」とされていても、完全に現場から離れるのが難しいケースがあります。
そのため、
夜勤については単純に
「1時間休憩って勤務表に書いてあるから問題ない」
ではなく、
実際にどういう状態なのかを見る必要があります。
休憩を取らないことが「頑張っている証拠」にならないようにする
介護現場では、
休憩を取らずに働く人が評価されてしまうことがあります。
「○○さんは忙しくても休まない」
「いつも最後まで現場に残ってくれる」
一見すると、すごく頑張っているように見えます。
でも個人的には、
休憩を取らずに働くことを美徳にしないほうがいい
と思っています。
一人が休憩を取らない。
すると、
他の職員も取りづらくなる。
新人が、
「この職場では休憩を取らないのが普通なんだ」
と思う。
それが文化になっていく。
こうなると良くありません。
真面目な人ほど、
「自分だけ休むのは申し訳ない」
と考えます。
でも休憩を取ることは、サボることではありません。
むしろ長時間働く仕事だからこそ、きちんと休む時間が必要です。
管理者側から見ると「本人が休憩に行かない」こともある
ここは少し違う角度から話します。
職員から、
「休憩が取れません」
という声が上がることがあります。
もちろん、
業務量や人員配置に問題があるケースもあります。
ただ、管理する側から見ると、
休憩へ行くよう声をかけても、
「これだけ終わらせてから行きます」
「まだ大丈夫です」
と本人が行かないケースもあります。
30分後に見るとまだ働いている。
また声をかける。
それでも行かない。
こういうことも実際にはあります。
本人としては責任感からやっていると思います。
でも、
「仕事が終わったら休憩に行く」
では、介護現場ではいつまでも仕事が終わりません。
コールは鳴ります。
介助はあります。
記録もあります。
だから、
仕事が一段落したら休むのではなく、交代で休む仕組みを作る
ことが重要です。
まず自分でできる対処法
もし休憩が取れないことに悩んでいるなら、
まず状況を整理してみてください。
休憩に入れない理由を確認する
毎回なぜ入れないのか。
人が少ない。
業務が押す。
職員同士で声をかけない。
自分が仕事を抱え込む。
記録が遅い。
原因によって対処が変わります。
「なんとなく忙しくて取れない」
から一歩進んで、
何が邪魔しているのかを考えてみます。
休憩時間になったら周囲に声をかける
これは単純ですが大切です。
「休憩入ります」
と伝える。
新人だと、
「今行っていいですか?」
と聞きづらいこともあります。
でも、勤務表などで休憩時間が決まっているなら、
確認しながら入って大丈夫です。
逆に、全員が
「誰かが言ってくれるまで待つ」
状態だと、休憩が後ろ倒しになります。
業務を抱え込まない
「これもやってから」
「この記録も終わらせてから」
「この人のトイレも行ってから」
そうしていると、いつまでも休憩に行けません。
緊急性がない仕事なら、
他の職員に引き継ぐ。
休憩後に回す。
という判断も必要です。
介護はチームで行う仕事です。
職場に相談したほうがいいケース
次のような状態なら、
個人で頑張るより、一度上司や管理者に相談したほうがいいと思います。
毎日のように休憩が取れない
週に一度、
事故対応で取れなかった。
急変があった。
それなら突発的な事情かもしれません。
でも、
毎日。
毎週。
ほぼ必ず取れない。
という状態なら、
仕組みの問題を疑ったほうがいいです。
休憩を取ると嫌な顔をされる
「今休むの?」
「みんな忙しいのに」
という雰囲気がある。
これはかなり休憩を取りづらくします。
休憩は、
暇な人が取るものではありません。
忙しくても、交代で取れる体制を作る必要があります。
休憩中も仕事をするのが当たり前になっている
昼食を食べながら記録。
電話対応。
コール対応。
家族対応。
これが日常なら、
「休憩時間の取り方」を見直す必要があります。
管理者に相談するときは「取れません」だけで終わらせない
相談するときは、
少し具体的に伝えると話が進みやすくなります。
たとえば、
「最近休憩が取れません」
だけではなく、
「昼食介助が13時半までかかって、その後排泄介助に入るので、3日連続で休憩に入れていません」
という伝え方です。
また、
「12時半からAさん、13時半から私のように休憩順を決められませんか」
と提案できるとさらに具体的です。
管理者側も、
現場で何が起きているかを正確に把握できていないことがあります。
数字や具体的な場面で伝えると、
人員配置や休憩順を見直しやすくなります。
「休憩が取れない」が何ヶ月も変わらないなら
相談した。
勤務体制も伝えた。
何度も改善をお願いした。
それでも、
ずっと休憩が取れない。
そんな場合は、
職場環境そのものを考えてもいいと思います。
特に、
休憩が取れない。
残業も多い。
人が辞め続けている。
勤務変更が頻繁。
管理者に相談しても何も変わらない。
こうしたものが重なっているなら、
一時的な忙しさではなく、
職場全体の問題になっている可能性があります。
介護職は、施設が変わっても介護職です。
でも、
働き方は職場によってかなり違います。
休憩時間の取り方。
職員数。
夜勤人数。
記録方法。
業務分担。
こうした違いだけでも、働きやすさは変わります。
「介護だから仕方ない」で終わらせない
介護には、
どうしても予測できないことがあります。
利用者さんが転倒した。
突然体調が悪くなった。
救急搬送になった。
こういう日に、
予定どおり休憩を取れないことはあると思います。
現場にいると、
「今日は仕方ない」
と思う日もあります。
でも、
毎日が「今日は仕方ない」になっているなら、それは別です。
人が足りない。
休憩交代を決めていない。
記録時間を確保していない。
業務量が多すぎる。
そういった問題まで、
「介護だから」
で済ませないほうがいいと思います。
まとめ|休憩が取れないことを当たり前にしない
介護職は忙しい仕事です。
だから、
予定していた時間に休憩へ入れないことはあります。
でも、
毎日のように休憩が取れない。
休憩中も普通に仕事をしている。
コール対応をしながら食事をしている。
それを、
「介護職なら普通」
と思う必要はありません。
まずは、
なぜ休憩が取れないのか。
一時的なのか。
毎日なのか。
自分だけなのか。
職場全体なのか。
そこを整理してみてください。
そして、
休憩時間になったら交代する。
業務を引き継ぐ。
上司に具体的に相談する。
職場として休憩の回し方を見直す。
できるところから変えていけばいいと思います。
休憩を取ることは、仕事をサボることじゃありません。
介護は、人に向き合う仕事です。
だからこそ、
自分自身がきちんと休める環境で働くことも、長く介護を続けるために必要なことです。