「有給あるのに、全然使えないんだけど」
介護現場では、これ結構あります。
制度上は有給がある。
でも、
「人が足りないから今月は無理」
「この日もう希望休多いよ」
「みんな我慢してるから」
「有給使うならもっと早く言って」
そんな空気があって、結局使えない。
っていうか、申請する前から諦める人もいます。
私も現場を長く見てきましたけど、有給が取れるかどうかって、制度より“職場の空気”に左右されることがかなり多いんですよね。
もちろん、介護はシフト制です。
利用者さんがいる以上、いつでも好きな日に休めるとは限りません。
でも、
「介護職だから有給が取れなくて普通」ではないです。
年次有給休暇は法律で定められた権利で、原則として労働者が指定した時季に取得できます。会社側が別日に変更できるのは、事業の正常な運営を妨げる場合に限られます。さらに、年10日以上の有給が付与される労働者については、会社には年5日を取得させる義務があります。厚生労働省
この記事では、
- 介護職はなぜ有給を取りづらいのか
- 「人手不足だから無理」はどこまで仕方ないのか
- 有給を取りやすい職場の特徴
- 逆に休みづらい職場のサイン
- 転職前に確認しておきたいこと
- 管理者側から見た「有給が回る職場」と「回らない職場」の違い
このあたりを、できるだけ現場っぽく話していきます。
介護職でも有給は普通に使っていい
まずここです。
介護職だから。
シフト勤務だから。
利用者さんがいるから。
それだけで有給が使えなくなるわけではありません。
半年間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば、原則として10日の年次有給休暇が付与されます。勤続年数に応じて付与日数は増え、通常の労働者では最大20日です。パートでも条件を満たせば有給は付与されます。厚生労働省
だから、
「パートだから有給ないよ」
とか、
「介護は有給使えないから」
と最初から決めつけるのは違います。
制度としてはあります。
問題は、
実際に使える雰囲気があるか
なんですよね。
介護職で有給が取りづらい理由
理由はいくつかあります。
人手不足
一番大きいです。
有給を使う。
その日は一人減る。
代わりの職員が必要になる。
でも、もともとギリギリの人数でシフトを組んでいる。
すると、
「休まれると回らない」
になります。
現場からすると、まぁ分かるんです。
私も勤務表を組む側を経験していますが、
「この日にもう一人休んだらどう回すんだ」
って日は普通にあります。
ただ。
そこを毎月ずっと、
「人が足りないから有給不可」
で回しているなら、
個人の問題ではなく人員配置そのものの問題です。
希望休と有給が混ざっている職場もある
これ、結構ややこしいです。
たとえば、
「希望休は月2日まで」
というルール。
そこに有給も含まれている。
「今月もう希望休2日出してるから、有給は使えません」
みたいな話。
でも、
希望休と有給って本来同じものではありません。
希望休は、
「この日はシフト上休みにしてほしい」
という職場内の運用。
有給は、
年次有給休暇。
別物です。
ここがごちゃ混ぜになっている職場はあります。
現場では普通に運用されていたりするので、職員も疑問を持たなくなります。
「有給取ると迷惑かかる」が一番強い
制度より、これが強いです。
「私が休むと他の人が大変になる」
これ。
真面目な人ほど思います。
介護職って、チームで働くじゃないですか。
だから、
「休みます」
と言った瞬間、
その穴を誰かが埋める。
分かってしまうんですよね。
その結果、
体調が悪くても出る。
有給を余らせる。
年度末に慌てて使う。
こうなる。
でも、
それを個人の気遣いだけで回している職場って、かなり危ういです。
誰か一人休んだだけで崩れる。
それなら、
そもそも余裕がないんです。
年5日は「取れたらいい」じゃなく、会社側にも義務がある
ここは知っておいていいです。
2019年4月以降、法定の年次有給休暇が10日以上付与される労働者については、使用者は基準日から1年以内に5日を取得させる必要があります。本人が自分で5日以上取得していれば、その分は会社側の時季指定は不要です。働き方・休み方改善ポータルサイト
だから、
「うちは有給取れない職場だから」
で年0日。
みたいなのは、少なくとも制度上そのままではありません。
ただし。
5日取れているから良い職場
とも限らないんですよね。
年15日付与されているのに、
毎年5日だけ会社から指定されて終了。
残り10日はほぼ使えない。
それなら、
「制度は守っているけど、取りやすい職場か?」
と言われると、微妙です。
有給を取りやすい職場は「誰かだけ」が取っていない
ここ、管理側で見ていると結構分かります。
有給取得率が高い職場でも、
よく見ると、
同じ人ばかり取っている。
ということがあります。
子育て中の職員。
ベテラン。
声の大きい人。
逆に新人は全然使わない。
遠慮している。
これだと、
制度として回っているとは言いづらいです。
個人的には、
新人でもベテランでも、必要なときに普通に申請できる
この状態が一番健全だと思います。
有給を取りやすい職場の特徴
じゃあ、どんな職場なら休みやすいのか。
求人票だけでは分かりにくいですが、いくつか見方があります。
有給の話を普通にできる
面接や見学で、
「有給ってどのくらい取れますか?」
と聞いたとき、
変な空気にならない。
これだけでも違います。
「もちろん使えますよ」
だけじゃなく、
「昨年度は平均○日くらいです」
「連休で使う職員もいます」
など、具体的に答えてくれる。
これは一つの目安です。
希望休と有給のルールが明確
月に希望休何日。
有給申請は何日前まで。
連休はどこまで可能。
こういうルールが明確。
職員によって扱いが違わない。
これも大事です。
ルールがない職場って、
結局その時の上司判断になります。
「あの人は取れたのに、私はダメ」
になりやすいです。
職員配置に少し余裕がある
これはかなり大きいです。
ギリギリ配置。
毎日欠員。
派遣で穴埋め。
こういう職場は、どうしても休みづらくなります。
逆に、
多少の欠勤が出ても回る。
応援体制がある。
他フロアから補充できる。
こういう施設は休みやすいです。
まぁ、ここは求人票だけでは本当に見えづらいです。
管理者自身が有給を使っている
意外とこれも大事です。
管理者が、
「俺は10年有給取ってない」
みたいなタイプ。
職員、取りづらいです。
言われなくても。
逆に、
管理者が普通に、
「来週有給です」
と休む。
そうすると職員も、
「あ、休んでいいんだ」
になります。
職場の文化って、結構上から作られます。
逆に、有給を取りづらい職場のサイン
これは少し注意して見てほしいです。
「有給は体調不良用だから」
たまに聞きます。
でも、有給休暇は原則として利用目的を問われません。休養でもレジャーでも取得できます。厚生労働省
なので、
「旅行では使えません」
みたいな独自ルールは、少なくとも法律上の年休の扱いとしては注意が必要です。
「みんな取ってないよ」
これも怖いです。
ルールじゃない。
でも強い。
「前からそうだから」
で続いている。
こういう職場文化ってあります。
新人ほど逆らえません。
退職時にまとめて使う前提
普段は使わせない。
辞めるときだけまとめて消化。
これも、
「有給取得できている」
とはちょっと違います。
本来は在職中に使うものです。
有給を申請すると理由を細かく聞かれる
「何するの?」
「どこ行くの?」
「それ有給じゃないとダメ?」
ここまで毎回聞かれると、申請しづらいですよね。
理由を話したい人は話せばいい。
でも、毎回説明しないと取れない。
この空気はかなりストレスです。
管理者側から見ると、有給を出せない月は確かにある
ここは現場だけの話にしたくないので、管理側の話もします。
勤務表を組んでいると、
正直、
「今月ここに有給入れられるのきついな」
と思うことはあります。
退職者が出た。
入院者対応が増えた。
新人がまだ独り立ちしていない。
夜勤できる人が少ない。
そういう月。
だから、
申請された日を全部そのまま通すのが難しいケースはあります。
法律上も、事業の正常な運営を妨げる場合には会社側が別の時季へ変更できる仕組みがあります。厚生労働省
でも、
毎月それなら話は別です。
1月もダメ。
2月もダメ。
3月も人不足。
4月も新人いるからダメ。
じゃあいつ使うの?
ってなります。
そうなると管理側は、
「休ませない理由を探す」
じゃなく、
どうしたら休ませられるか
を考えないといけないと思っています。
有給が取れないとき、まず確認したいこと
いきなり揉める必要はありません。
まず、
職場ルールを確認します。
就業規則。
有給申請方法。
申請期限。
希望休との扱い。
そこを見ます。
次に、
直属の上司へ、
「この日有給を使いたいのですが、難しいでしょうか」
と普通に相談する。
もし難しいと言われたら、
「では、どの日なら可能ですか?」
まで聞く。
ここ重要です。
ずっと、
「今月無理」
だけで終わらせない。
取れなかった記録は残しておいてもいい
何度申請しても断られる。
そういう場合は、
自分で簡単に記録しておいてもいいです。
申請日。
希望日。
断られた理由。
代替日の提示があったか。
感情的になるためではなく、
状況を整理するためです。
「なんとなく取れない」
より、
「半年で5回申請して全部断られた」
のほうが話は具体的になります。
転職前に「有給取得率」だけ聞くのは少し弱い
ここ、結構大事です。
面接で、
「有給取得率は何%ですか?」
と聞く。
悪くないです。
厚生労働省の2025年版「労働経済の分析」でも、年次有給休暇の取得率は長期的に上昇し、特に「医療,福祉」は過去10年間で取得率が大きく上昇した産業の一つとされています。厚生労働省
でも、
取得率だけでは分からないこともあります。
私はむしろ、
「連休で有給を使う人はいますか?」
とか、
「希望休と有給って別で申請できますか?」
とか、
「昨年は職員一人あたり平均何日くらい使っていますか?」
のほうが実態が見えやすいと思っています。
「有給100%消化」が絶対正義とも限らない
これも少しだけ。
有給取得率100%。
すごく良さそうです。
実際、休める環境は大事です。
でも、
会社指定日ばかり。
自分の好きな日に取れない。
というケースもあり得ます。
だから、
数字だけではなく、
自分で日を選べるか
も聞いたほうがいいです。
有給が取りづらい職場は、他の働き方にも出やすい
これは経験上かなり感じます。
有給が取りづらい。
その職場を見ると、
休憩も取りづらい。
残業も申請しづらい。
希望休も言いづらい。
そんなふうに、
他のところにも同じ文化が出ていることがあります。
もちろん全部ではありません。
でも、
「休むことを悪いこと扱いする文化」
がある職場は、長くいると疲れます。
休みやすさは給料と同じくらい見ていい
転職するとき、
月給。
賞与。
夜勤手当。
そこはみんな見ます。
でも、
有給。
希望休。
連休。
ここも同じくらい大事です。
月給が1万円高い。
でも有給ほぼ使えない。
毎月希望休1日。
旅行できない。
それなら、
月給1万円低くても休みやすいほうがいい。
そういう人も多いと思います。
給料は数字で見えます。
休みやすさは数字で見えにくい。
だからこそ、ちゃんと確認する。
まとめ|「有給がある」より「普通に使える」職場かを見てほしい
介護職でも有給は使えます。
制度としてある。
年5日の取得義務もある。
そこはもう前提です。
でも、本当に大事なのは、
有給が何日付与されるかより、使いたいときに相談できる職場かどうか。
だと思います。
人手不足だから。
介護だから。
シフト制だから。
確かに難しい日はあります。
現場を知っているので、そこは分かります。
でも、
毎回取れない。
毎年余る。
申請するだけで嫌な顔をされる。
それを「普通」にしていいのか。
私はちょっと違うと思っています。
次に求人を見るとき、
給料の欄だけじゃなく、
「この職場でちゃんと休めるかな」
そこも一度見てみてもいいんじゃないでしょうか。